「人時売上高と人時生産性って何?」
2017/12/08
小売業では一つの指標として「人時売上高(にんじうりあげだか)」「人時生産性(にんじせいさんせい)」が使われることがあります。今回は、この2つの指標についてどのような意味を持つのか、この指標から何が分かるのか調べてみました。
人時売上高とは?
人時売上高は従業員一人時間当たりの売上高を意味しています。求め方としては、人時売上高=売上高÷総労働時間によって導くことが出来ます。この数値が高いほど一人当たりの売上高が高いことになりますし、一般的には高いほど良いとされています。
人時生産性とは?
人時生産性は従業員一人時間当たりの生産性を意味しています。求め方としては、人時生産性=粗利高÷総労働時間によって導くことが出来ます。人時売上高同様に数値が高いほど一人当たりの粗利高が高いことになり、一般的にはこちらも高いほど良いとされています。
人時売上高、人時生産性から見えてくるもの?
例えば、A店の売上高100万、粗利高60万、総労働時間(社員とパート)100時間。B店の売上高が200万、粗利高80万、総労働時間(社員とパート)400時間。この場合、売上高、粗利高で見るとB店の方が優良とされますよね。ただ、集客数や規模、立地などによって売上高、粗利高は大きく変化しますので、一概に比較は出来ないです。次に、人時売上高、人時生産性を見てみましょう。
A店は売上高100万÷総労働時間100時間=人時売上高10,000円、粗利高60万÷総労働時間100時間=人時生産性6,000円になります。
B店は売上高200万÷総労働時間400時間=人時売上高5,000円、粗利高80万÷総労働時間400時間=人時生産性2,000円になります。
この場合は、A店の方がB店より人時売上高も人時生産性も高いことが分かります。つまり、従業員一人当たりの売上高及び生産性が高いA店の方がより優良とされることになりますよね。ただ、人時売上高も人時生産性も一つの指標として見てください。総労働時間には社員、パート、アルバイトの労働時間数が合計されています。人数換算では適していると思います。しかし、1時間当たりの人件費を考えてみてください。ここで、もう一つ「労働分配率」という指標も見てみましょう。労働分配率とは、付加価値(ここでは簡単に粗利高と考えてください)のうち人件費の占める割合を表しています。労働分配率は業界ごとにパーセンテージが異なります。労働分配率が高い場合は、より付加価値を生み出せていない可能性や販売効率が悪い状況にあるのかもしれません。低い場合は、働く環境が劣悪な状況下にあるのかもしれません。会社がきちんと付加価値を生み出せているのかを知る指標として労働分配率も判断材料にしておきましょう。このように、複数の指標を判断材料にして総合的に客観的に見る必要がありますね。
まとめ!!
何かを判断する際は一つの指標で判断をするのではなく、複数の指標で判断することが大切です。総合的に見て最良の方向性を導くために使用してみてください。